相続が開始すると、亡くなった人の財産はすべて、相続人が引き継ぎます。例えば、土地、建物、株式や公社債などの有価証券、預貯金、現金、自動車などが挙げられます。しかし、相続財産にならないものもあります。それは、以下のようなものです。
相続財産ではないもの
(1)一身専属権
亡くなった人の一身に専属した権利や義務については、相続人に継承することができません。例えば、生活保護受給権、公営住宅使用権などがあります。
(2)祭祀財産
系譜、祭具、墳墓については、基本的に、慣習によって祖先の祭祀を行う人が継承することになります。
(3)死亡退職金
死亡退職金は、相続財産ではなく、受給権者の自己固有の権利として取得するものとされています。国税庁によると「被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(これらを「退職手当金等」といいます。)を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。」とあります。
(4)生命保険金
生命保険金は、原則として、相続財産にはなりません。国税庁によると「交通事故や病気などで被保険者が死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合には、被保険者、保険料の負担者および保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。」とあります。
【参考】
民法
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。