遺言は、いつから効力が発生するのでしょうか。それは、遺言者の死亡の時からとなります。
したがって、遺言を作成したその時に効力が発生するわけではないということです。(ただし、遺言にある条件が付いている場合には、死亡した時ではなくて、さらにその条件が成就したときから効力を生ずることになります。)
遺言を作成したからといって、預貯金を引き出せないことはありません。自由に引き出すことができます。また、家を売却せざるを得ない場合が生じたら、それを行うことも可能です。(家を売却すると遺言全体に与える影響も大きいので、その点はよく考えるべきであるし、遺言自体を変更する必要があるかもしれません。)
遺言者の所有する財産は、遺言者が生きている間にどう処分しようと遺言者の自由なのです。財産を処分して、その結果それが遺言と違っていれば、その違ってしまった部分が撤回されて執行できなくなるというだけのことです。
遺言を作成してみたけど、気になるので別の内容の遺言に変更するということも可能です。遺言を撤回することも可能です。
遺言は何度でも作成したり変更したりできますし、作成後も自分の財産は自由に処分できるというメリットを生かし、ある程度の年齢になったら、一度遺言を作成してみるのもあり得ると思います。
例えば定年退職になったら遺言を作成してみる、後期高齢者となる75歳になったら遺言を作成してみる、というのもいいのではないでしょうか。その場合、手軽に作成できる自筆証書遺言を、とりあえず作成してみる価値はあると思います。
【参考】
民法
第985条 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。第1022条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。