検認とは

遺言書を書いた本人が亡くなった後、遺言書の扱いはどうなるのでしょうか。まず、遺言書を保管している人やその遺言書を発見した相続人は、家庭裁判所に「検認」してもらう必要があります。

ただし、公正証書による遺言書や、遺言書保管所(法務局)に保管されている自筆証書遺言書は、その必要はありません

「検認」とは、相続人に対して遺言の存在やその内容を知らせるとともに、遺言書の内容を明確にして、その偽造や変造を防止するための手続きとなります。したがって、遺言の有効や無効を判断する手続きとはなりません。

検認の申立て

遺言書の保管者あるいは遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。申立てに必要な書類は、次のとおりです。

(1)申立書
裁判所のホームページから、申立ての書式がダウンロードできます。記載例も次のように紹介されています。

(裁判所のHPから)

(裁判所のHPから)


(2)添付書類(下記のほか、さらに追加で提出しなければならない場合もある)
【共通】
●遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
●相続人全員の戸籍謄本
●遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】
●遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母と祖父))で死亡している者がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

【相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、または遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】
●遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
●遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
●遺言者の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
●代襲者としてのおいめいで死亡している者がいる場合、そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

※直系尊属とは、父母や祖父母などのこと。
※除籍謄本とは、すでに全員が死亡した場合の戸籍謄本のこと。
※改製原戸籍謄本とは、以前使われていた古い様式の戸籍謄本のこと。
※代襲者とは、相続人となるべきだった子どもや兄弟姉妹が死亡していた場合等で、その本来相続する人に代わって相続する人のことで、その人の子ども等がそれにあたる。


申立てに必要な費用は、次のとおりです。
●遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分
●連絡用の郵便切手(申立てする家庭裁判所に確認する)

検認の手続き

検認の申立てがあると、相続人に対して、裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知があります。申立人は必ず出席することになりますが、それ以外の相続人が出席するかどうかは、各人の判断に任されていて、全員がそろわなくても検認手続きは行われます。

検認期日には、申立人が遺言書を提出し、出席した相続人等の立会のもと、裁判官が、遺言書を検認します。封がされている遺言書はその場で開封されます。それ以前に開封してはいけません。

検認が終わった後、遺言の執行をするためには、遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となるので、検認済証明書の申請をすることになります。(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)